オンライン対応は確定か? - 「EGM」のインタビューにて中裕司氏がコメント
2005/03/22(火) - 19:15

 米国のゲーム情報誌「EGM」最新号にて、 「ファンタシースターユニバース(PSU)」について中裕司氏へインタビューした模様が掲載されています。 以下、インタビュー記事を要約。

――プロジェクト(PSU)について簡潔に説明して頂けますか?
 中氏:シリーズ(PSO)は今年で5年目に。 これは新しいスタートを切るのに最適な時期。 私は"PSシリーズ"と非常に長く関わってきました。 また、ユーザーから多くのフィードバックを得ることで、 ゲームに盛り込むべき素材の多くが見えてきました。

――PS2のHDDに対するサポートが消極的になったことで、プロジェクト(PSU)に影響は?
 中氏:私はプランを変えるつもりはありません。 また、ソニーは、HDDが無くとも、私達のネットワークゲームをサポートするでしょう。 私はソニーにこのゲーム(PSU)の多くを見せてはいません。 あなた(EGM)はそれを見る、社外で最初の人々です。 誰も、今日まで、それ(PSU)があるであろうプラットフォームを知りませんでしたから。

――(PSUは)PS2のライフサイクルにおいて幾分遅い登場ですが?
 中氏:PS2は今最も大きな市場を抱えるハードウェア。 また、次世代プラットフォーム(PS3)に関するノウハウが蓄積される以前に、 これらに適したオンラインゲームを投入することは時期尚早であり、リスクを伴う。

――「PSU」の開発において臨む、最も大きな挑戦とは?
 中氏:まだ開発の真っ最中ですが、オンラインゲームの開発において 最も困難な一部分である、ネットワークの安定性に取り組んでいます。 開発終了の約1〜2ヶ月前には、最も困難な作業(※ネットワークトライアル?)が来ることでしょう。

――不正行為者(チーター)について、どのような対処を行いますか?
 中氏:私達は5年に渡りチーターの被害を経験し、 それらに対処するノウハウを蓄積してきました。 私は、私達のセキュリティが、ほぼ100%信頼足り得ると考えます。 「PSU」のセキュリティは、「PSOBB」のそれに酷似しており、データをサーバ側で管理するでしょう。

――過去、PSシリーズに取り組んだ時のあなたの思い出は?
 中氏:シリーズの初め(旧PSシリーズ)から、私は常にユーザーを驚かしたいと考えていた。 ユニーク且つオリジナリティ溢れる作品を作る、私の設計哲学の全てを目指した。 私は、私の中の作り手の部分に、何かを新しく、面白くするようにアドバイスする。 このように、21年間に渡りゲームを作成してきました。

――「PSU」がSFをテーマとするのは、あなた自身が個人的にSFを好んでいるから?
 中氏:私はその種の空気(SF)を好みます。 殆どのRPGが中世ファンタジーをベースとしていることは理解しています。 しかし、私は、何かが宇宙で起こることを望みました。 誰しも「スターウォーズ」が好きでしょう。 また、だれもが未来に対する感心を持っていると思います。

――ソニックチームのGCタイトルは米国で成功を収めた。今後もGCのサポートを?
 中氏:私はGC(GameCube)を支え続けたいと考えているし、 現在はそのためのタイトルも開発している。

――PSPとNDSについて、各々をどのように感じますか?
 中氏:ソニーがPSPを"携帯版プレイステーション"と言うように、 PSPはプレステのゲームをいかなる場所においても(TVを必要とせず)プレイすることができます。 これは非常に良いプラットフォームです。 しかし、NDSは、更なる楽しみを提供するために、2つの異なる全く新しい要因を組み合せました。 従って任天堂は、ゲームに興味を示させる、革新的対処法を築いたといえるでしょう。

――携帯ハードにおいて、「PSU」のようなゲームが実現できると考えますか?
 中氏:私達はPS2のスペックをフルに活用して「PSU」を開発しているため、 PSPに「PSU」を置くといったことが可能であるとは思っていません。 しかし、ネットワーク環境が整い、それが安定すれば、 PSPへ「PSO」を移すことも想定できます。これは非常に面白いことになるでしょう。 しかし、私達には、現時点でこれを行うための人材が不足しています。

――PSPに「PSU」のミニゲームを展開するといった連動要素は考えていますか?
 中氏:それは非常に興味深いアイディアです。それが可能ならばソニーを愛します。 私達はソニーから公式情報を入手していませんが、 PS2のゲームからPSPへとデータをダウンロード出来るといったことが可能ならば取り組んでみたい。 それがクールなアイディアだとソニーに伝えれば、ソニーはそれを可能としてくれるだろう。

――次世代コンソールについて、その登場を時期尚早と考えますか?
 中氏:私はそれ(次世代ハード)の登場が早過ぎると思います。 PS2及びGCは共に現役の非常に良いプラットフォームです。 個人的に、これらのハードが衰退し、開発費も高騰するため、 次世代プラットフォームにはまだ出て欲しくはありません。 冗談ではなく、1つのゲームを作るために要する時間が3倍になるかもしれない。 ファンが次回作を3年待たなければならなくなるのは衝撃でしょう。

――あなたが手掛けたゲームで、最もあなた好みのモノは?
 中氏:ソニック・ザ・ヘッジホッグ。 もしもソニックに取り組まなかったら、恐らく今もゲーム業界で働いていなかった。 ソニックはオモチャやアニメといった多くのモノを持っている。 (アニメに関連して)以前、「PSO」アニメ化の企画が持ち上がったが、 将来また話が持ち上がる可能性はあるかもしれない。

――あなたが昨年プレイした、他パブリッシャーのゲームはありますか?
 中氏:他のパブリッシャー!?(笑)。 NDSのゲームを含む、任天堂の多くのゲームをプレイしている。 実際に楽しんだモノは「さわるメイドインワリオ」。「グランツーリスモ4」はハンドルも買いました。 将来的には、フォースフィードバック(ハンドルの反動などに利用される技術)を広く利用したゲームを作りたいと思う。

――任天堂の新デバイスがクールなものであれば、それを活かすゲームを作りますか?
 中氏:任天堂がそのようなモノを開発すれば、私は確実に興奮するでしょう。

――今後数年に渡り、セガでどのようなことに取り組みますか?
 中氏:次世代プラットフォームの将来を見据える困難な期間。 何が起こるか予測することは困難ですから、PC及びオンラインゲーム(PSOBB?)に注力する良い時間になるでしょう。

――オンラインプラットフォームとして、NDS及びPSPをどう捉えていますか?
 中氏:私達はポータブルネットワークゲームを作ることに興味があります。 しかし、「PSU」と「ソニック」の開発に多忙なこともあり、現在その計画はありません。 私は、日本及び米国において、このようなプロジェクトを推進するための人材(スタッフ)を補充しようと考えます。 私個人としては、NDSでネットワークゲームを開発することに非常に興味をもっています。

 以上が「EGM」に掲載されたインタビューの要約になります。 インタビューに臨んだ中裕司氏は、ご存知「PSO」の産みの親。 氏のコメントを伺う限りでは、「PSU」がオンラインゲームになることは、ほぼ確定といった様子。 PCにて稼動中の「PSOBB」に類を見る、サーバ保存型のデータ管理を計画中とのことですが、 やはり「PS2専用HDD」にも何らかのカタチで対応するのでしょうか。 「PSP」との連動を匂わす意味深なコメントも気になりますが、さて…?

 また、昨年話題に挙がった、携帯ハード「NDS」向けに開発中とウワサされた「PSO:DS」については、 インタビューの締めとなる最後の質問にて、"現在その計画はありません"と否定したうえで、 今後実現する可能性がゼロではないことを示唆。 今後のPSシリーズの展開と、その動向に要注目といったところです。

 このほか、「PSO」アニメ化の企画が頓挫するといった驚きの情報にも注目。 氏いわく"将来的に再び話が持ち上がる可能性も"とのこと。 オンラインゲームのアニメーションといえば"ラグナロクオンライン"が挙げられますが、 「PSO」アニメ化の際には、レッドリングリコ、キリークの旦那、へたれアッシュ、イブシ銀のバーニィといったメンツが 画面狭しと飛びまわる!?

 日本において解禁された情報では「PSU」がオンライン対応タイトルになるといった 記述は確認できていませんが、今回のインタビューを見る限りでは期待しても良さそうですね。

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